電検を目指すことにしましたので、早速問題解いて解説を載せて行こうかなと、思っております。
目次
何故電検を目指すことになったか
どうやらこの世には、電検なる試験があるようで、僕もそれは知っていました。
けれど、受けようとは思っていなかったし、最近はその存在を忘れておりました。
先日、バンド練習をしていたたぬし氏は、人生を常に追い込み、自己を高めんとするに煽られていました。
「たぬさん、電気系今やってるんですし、電検三種うけませんか?俺、受けようと思ってるんで、巻き込まれてくれたらなーと。つーか、高み目指すならやりますよね?」
「え?いいっすよ。ちょうど勉強してるとこだし。山があるなら、やっぱりね、、、登りたいし」
そんな感じで、軽く請け負ったたぬ氏。その時はまだ、地獄が始まることを知らなかったのです。。。
バンド練習の後、さっそく問題集を見に行くことになりました。
まず、敵を知らねば、攻略することはできません。
「ふむ。これが電検かー。ん?何個かあるけど。」
「そうっすね!試験科目が四種類あるんすよ。電力・機械・理論・法規の4つですね。」
そして、電力、機械そして法規という科目は僕にとって全くの未知分野であり、かつその本のボリューム感に多少圧倒されました。(注1: 多少である)
「合格率は毎年10%を切るみたいですね~。しかも、無理とあきらめてしまうのか受験率も70%くらいみたいなんすよね~」
なるほど。
確かに、本が滅茶苦茶分厚いです。
タスクだけ詰みあがるたぬし氏。
こうして、電検を目指すことになったのです。
(時間スケール的にヤバさを隠しきれないです)
早速、理論の本の一ページにあるクーロンの法則と電場のお話から、少し解説していきたいと思います。
電場とクーロンの法則の説明
電場とは何か?
電場とは、電荷によって生じた空間の変化のことを示す言葉です。
「場」には電場以外にも色々な種類があります。
例えば、我々に一番馴染みが深いのが重力場です。
重力場は、物質に「重さ」を与えています。
けれど、地球から離れて地上遥か彼方に行くと、この「重さ」はどんどん小さくなり、ついには、宇宙へ行くと「重さ」が0になる。
たぬきちゃんが浮いている、宇宙では、力が働いておらず、これは場の力が0に近づいていることを意味します。
これが無重力状態です。
つまり、より精密に言うと、重力場は、「重さ」言い換えれば目に見えない「力」の分布を与えているのです。

電場もこれと同様に、「力」の分布を与えています。
では、電場の場合、どうやって与えられるか?というと、電荷が存在することで、電場が生まれます。
単に、電荷が静止した状態で置かれているだけで、周囲の空間に何らかの変化が生じ、その空間の変化が力を伝える、と考えます。
このように、電荷は存在するだけで、空間自体に変化が生じることから、ゆくゆくは空間の変化そのものに、注目する必要があります。
たとえば、この電荷が動き始める(いわゆる電流というやつです)とどうなるか?と考えると、電荷が動くことで、空間も時々刻々と変化してゆきます。
そうすると、磁場が生じるのです。

これは、高速で走っている車を考えるとわかりやすいです。
ここで、車を電荷と考えれば、車が走ること = 電荷が動く = 電流と捉えることができます。
車が走ると、車が過ぎ去った後に、少し遅れて風がふきこみます。
これは、車が走ることで、車が通った空間に変化が起きたためです。
電荷には、プラスとマイナスがあり、これら二つで性質が異なっています。
では、プラスとマイナスでどのような空間の変化が起きるか見てみましょう!
電場の視覚化
一つの電荷が作る電場
仮に、+1[c]や-1[c]を空間上に配置してみると、どのような空間の変化が生じて、力の分布が生じるかを見てみましょう。
Pythonにより、電場ベクトルを計算させて、可視化してみました。
矢印は大きさと向きを持っており、高校数学でやったベクトルを表しています。
この分布を見ると、場所によって向きや大きさが違う力が働いているということがわかります。
+1[c]の電荷は外向きに放射するように(斥力)力が向いています。
逆に、-1[c]の電荷は、自身に向かって吸い込むように(引力)矢印が向いているのがわかります。
このように、プラスとマイナスの電荷では、力の向きが異なるということがわかりました。
- +電荷 : 外に放射する力の分布
- -電荷 : 自身に吸い込むような力の分布
図3 +1[c]および-1[c]が作る電場
二つの電荷が作る電場
この性質の違った二つの電荷があることがわかりました。
では、二つの電荷が一緒に存在する時は、どんな電場になるのか少しみてましょう。
同種の電荷が2つ存在する場合
まず、二つのプラス電荷、二つのマイナス電荷が離れた場所に1つずつある場合が下の図になります。
このように、同種の電荷が二つ存在すると、x軸の0.0を中心として左右で逆方向に矢印が向いています。
結局、同種の電荷が二つあると力の向きとしては、反発しあうということです。
次に、+と-の異なる電荷が一つずつある場合を見てみましょう。

異なる電荷が1つずつ存在する場合

一方で、+と-が一つずつ存在するような場合では、引き合うことが分かります。
よく見てみると、+(青)の電荷から出た矢印が、-(赤)の電荷へ向かっているのが見て取れます。
電荷自身にどのような力が働くか?を考えると、電荷周りのたくさんの矢印を足し合わせる必要があります。
各電荷の周りの矢印を足し合わせると、y軸方向の電場はちょうどキャンセルされて0になります。
そうすると結果はシンプルで、同種の電荷ならx軸方向で反発する斥力になり、異なる電荷だと引力になります。

電場とクーロンの法則の定式化
電場の定式化
電場とは、力の分布を与えるものであり、電荷が存在するだけで生まれるものだ、ということを説明してきました。
結論から言いますと、電場は、電場を作る電荷の大きさに比例し、距離の二乗に反比例して減衰する式で表されます。
順々にその式の成り立ちを説明していきます。
この力の分布をよく眺めてみると、電荷から遠い所は、矢印の長さが短いということがわかります。
つまり、電荷から距離が離れると、与える力は弱くなっています。
また、1[c]の時より、10[c]の電荷の方が、強い影響力を持っており、電荷の大きさに比例して電場は大きくるという性質があります。
直観的にも、1[c]より10[c]の方が、10倍強そうだなーって思われますが、実際電場は10倍強いのです。
この電場の大きさ(注: 実際はベクトルなので、方向を示す単位ベクトルがつきます。)を定式化したのが、

です。
直観通りに、定式化されていて、電荷からの距離が遠いほど電場は弱くなり、その度合いは距離の二乗に反比例しています。
また、電荷の強さは、電場の強さと比例しています。
その他に、\(4\pi \varepsilon_0\)という項が分子にかかっていますが、これは定数であり、今は考えなくてよいです。
こんな定数がかかるんだなー位に捉えておけばよいでしょう。
電場からクーロンの法則へ
この電場は、力の分布を与えるので、高校で習った力Fの単位である[N]が単位として与えられています。
ただ、単純に[N]というわけではなく、電荷が作る場なので、1[c]が作る力[N]として定義されています。
つまり[N/c]が電場の単位になっています。
この電場が生まれている状態で、外から電荷が侵入しますと、外から来た電荷に電場の影響が働いて力が生じます。
これがクーロンの法則です。
これまでの流れを辿り直しますと、まず、電荷が一つ存在することで電場が生じます。
この電荷は、電場を作る電荷であることから、電場形成電荷と名付けましょう。

さらに、外からマイナス電荷がこの場が生じている中に侵入してきたとします。
すると、初めて、この二つの電荷の間に力が働きます。
これがクーロンの法則と呼ばれるものです。

このクーロン力の大きさ定式化すると、

となります。
電荷が二つになると、どちらにも力が働きます。
まず、片方の電荷は、電場を作る電荷として考え、そこに電荷が侵入してきた結果、二つの電荷の間に力が生じる、と考えるとわかりやすいかなと思います。
q1の存在が原因となり、結果として(左側の式)クーロン力Fが生まれた、という見方です。
物理の場合、このように原因と結果を=で結ぶことが多々あります。
単位を見ても、[N/c] × [c]となり、[c]がキャンセルされて[N]になります。
電場 × 電場侵入電荷 = 力、となっていることがわかります。
これまでの流れをもう一度おさらいしてみますと、
電場とは、電荷がいることで空間に変化が生じ、空間における力の分布を与えているものでした。
力の分布があるなら、場所を決めたら、力が定まるはずです。
その力を定める式がクーロンの法則であるといえます。