博士課程

研究って実際何をやってるの?博士課程へ行こうか悩む人へ。(1)

こんばんは。会社勤めを始めたばかりのたぬしです〜。

ふあー。やはり、会社と研究室は違いますね。今のところ研究より全然楽ではありますが、別の意味で疲れたりする状況です><。

さて、今日のお題は、2018年現在における、研究の生の現状をお伝えしようかと思います。

分野による違いもあるかと思いますが、僕は実験物理分野を経験しましたので、一つの視点を提供できたら良いなと思います。

そもそも「研究」とはどのような活動なのか?

研究というと、何か創造的な仕事を思い浮かべることがあるかもしれません。現在、未知である現象を追求したり、発見したり。

「研究」って言葉を聞くと、色々な想像を起こさせますが、経験したことがない人からすると、割と漠然とした活動かもしれない、と思い少し具体化しておきたいと思います。

たとえば、この世にない、新しい新物質が発見されたとします。そうすると、この新物質の性質を調べるために、既存の実験手段を用いて、みんなが調査を始めます。

もちろん、この世には様々な実験が存在し、それぞれがひとつの研究室になるほどの難しさを持っています。また、理論屋もこの世には存在しており、実験結果と突き合わせて、両輪のように研究が進んでいきます。

まずは、この物質が何であるかわからないので、物質を作った人がそれぞれの研究室に分配し、様々な手法で測り始めるわけです。

その結果、新物質が、特に何も複雑な挙動を示さない、これまでにもよく見られた物質群の一つであるとわかったとしましょう。

A実験研究室「この物質はよくある半導体ですね〜その証拠として云々〜」

B実験研究室「うちの結果も半導体であることを示しますわ〜その証拠はこれこれで〜」

C実験研究室「わいんとこもやで〜」

Z理論研究室「理論計算からも、云々〜」

上記のような感じで、様々な結果が出揃ったところで、その物質の特性が色々な視点からわかるようになっていきます。

ひとつの石ころに色々な角度から光を少しずつ当てて、その形を明らかにしていく、という感じです。

この際、測定する人は、実際に物質を作るわけではありません。作る人もいますが、多くの測定屋は、作った人から、物質をもらって測定だけを行います。世界で初めて作った人からもらった方が信用できますしね。

こういう測定する人たちにとって面白いのは、これまでに見たこともないような、新しい現象だったり、珍しい性質が現れたりした時です。これまでによく見られた、半導体である、ということがわかったのは良いことですが、それ以外の性質を何も示さなかった場合は、面白くない、と感じる人もいるかもしれません。

面白さの有無に関わらず、これらの測定も簡単ではありません。基本的にめちゃくちゃ難しく、時間もかかり、泥臭いものが多いです。これらの測定は様々な実験上のノウハウや解析技術の上に成り立っており、個々の研究室に脈々と伝わる匠の技によって成し遂げられているのです。

この時、これらの研究室は、新発見をしたなーとは思わないかもしれませんが、それぞれの実験のプロとしてその結果を論文にしたためることで、仕事をした」ことになります。

多くの、実験はこのように、匠の技の部分にかかっており、研究とは、特定の実験や理論構築のプロ集団の活動である、と言えます。

時には、違う研究室の実験結果の解釈が合わないことがあります。

D研究室「俺っちがやった実験だと、こいつは金属っすね!!」

その場合は、その理由を追求すべく、新たな実験が行われたり、議論が世界中で行われていきます。そうこうしているうちに、ひとつの物質群で、何年もかかっていることがあります。

結果はポンとすぐに出てくるものではなくて、半年から一年と長いスパンを持って生み出されていきますので、同じ物質を何年もやっているという状況は多く出てきます。つまり、研究は息のなが〜い行為であるとも言えます。

答えのない結果と泥臭い失敗の連続・・・

新物質を作る、というのは想像に難くないように、難しい。何十何百と条件を変えて作ったりします。

偶然に、新しい物質が出来ていることも少なくはないが、それに気付けるかどうかは、かなり注意深さと観察眼が必要だ。

測定も、失敗の連続であることが多く、何回も夜通し測定して、やっと綺麗な結果がひとつ取れました、ということもままあります。

もちろん、測定する技術を上げていけば良いのだけれど、それには多くの経験が必要です。

学部生や修士の間で、この実験技術を学んだとします。そして、データ処理の仕方やグラフの作り方も学びました。

学生「やっと幾つかの測定をとりあえず、全部できるようになったぞ!でも、解釈は意味不明・・・この測定あってるのかな・・?」

ここで、初めて物理を始めることになります。ここからが、研究の本番です。

新物質の妙な現象が出てる場合、まだ何もわかっていないので、基本的に答えがありません。教科書がまだない状況なのです。この答えのない出来事に、既存の専門的知識から、解釈を見出さなければならない。

学生ダヌキ「マジで何調べても出てこないし、意味わからんだーぬ。解釈不能だーぬ!」

このように答えが出ない、結果に対してどう、アプローチしていくか?が凄い重要になってきます。ぶっちゃけ、専門家である教授陣と議論するしか、抜け道はない気がする。。

そして、この部分に、創造的な仕事があります。メチャクチャ理論的なことに詳しいと、この点は有利です。

一方で、答えのない問題に直面し、研究の意義を感じられるか?という、モチベーションの問題と、物理自体が難しすぎて解釈までに至らない、という問題もあります。

研究のモチベーションを保てるか!?

これまで見てきたように、研究には様々な罠があります。以下にまとめてみます。

  • 実験技術やデータ処理・解析の習得に何年か経験が必要
  • 失敗の連続である毎日に耐えられる精神力
  • 意味不明な結果に対してどうアプローチするか?(教授や専門家との議論や自分での勉強等)
  • 物理自体の基礎学力の問題(全く0では、厳しい部分も)

これらを、楽しんでやれる人が、研究自体を楽しめるのかなーと思います。しかし、多くの問題が同時に存在するため、モチベーションの維持が人によってはかなり難しいと思います。

最初は皆、上記のどれも満たしていないので、同時並行で全部やっていくのだけど、それにはバイタリティが必要です。

人間的な問題になるけれど、このモチベーションの維持がうまい人は凄い強いと思います。

このモチベーションの低下が何より、一番見受けられる現象です。これは、会社に入ってからの仕事、でもそうなのかもしれないですね。人間が持つ、普遍的な問題なのかも。

このモチベ問題は、やる期間が長ければ長いほど問題になっていきますので、個々人で何か対処法が必要だと思います。

面白い!という時期と、耐え忍ばなければならない期間があって、研究は、耐える時期がそこそこ長い活動な気がしているたぬしであります。次回は、就職とか、実際的なことにも触れていこうかなー!