理系全般

理系の実験系に進む人でも、「数学」や当該分野の「理論」に精通していると有利な理由

たぬしです!
僕が博士まで行き、さらに今工学系の会社で働いている経験から、実験をやる人にとって数学や基礎科目が必須である理由を、半ば自分への後悔と共に綴ろうと思います!

以下に、実験系の人も数学、ひいては当該分野の基礎理論および数学が必要な理由を、具体的に挙げておこう。

まずは数学が必要な理由から

実験の人さえも数学を学ぶ必要性

専門的な理系科目を学ぶ際に、数式が結局必須

よし!専門科目を学ぶぞ!
開口一番、本を開くも、複雑な数式が書いてあって、私は目をゆっくりと閉じた。(end1)
結局のところ、理系科目の学びにおいて一番挫折の可能性があるのは、数式を追う点だと思う。
物理に限らず大体の理系分野は、数式で描かれている抽象的な世界だ。
これは、工学部だろうが、理学部だろうが変わらない。
フーリエ変換、ラプラス変換等の工学における応用は幅が広すぎて挙げられないほどだし、微積分や線形代数に至っては、もはや理系の「言葉」そのものだ。
それらの基礎を徹底的に学ぶのもよいし、数学科でもないのに、一つだけでも自分が滅茶苦茶得意な数学分野を持つ、というのもよいと思う。

たぬ「俺は、工学部だけど、ルベーグ積分わかるぜ?」

みたいなやつがいてもよいだろう!

高い数学力が開発や研究の強い武器になる可能性がある

また、上記のような遊学が、思いもせぬ研究への架け橋となる例も見てきたので、むしろ武器になる可能性がある、ということも追記しておきたい。
特に物理学においては数学と強く結びついているので、その傾向は強いと思われる。
実際の例として、数学を極めていたが故に、成功した回路関係の社長の話を読んだ。
極端な例だけど、回路の縮小のための基礎研究で数学をひたすらやり続けて、結果開発に成功した話。
漫画なので読みやすいです。

その他の例としては、東工大の物性研究者であり、鉄系超伝導体の発見者である細野先生が、量子化学とかの理論系を真面目に勉強していた、と本で論じていたのを思い出す。
やはり、徹底的な基礎力が世界を創る礎となっている。
確か以下の本に書いてあったと思います。

好きなことに、バカになる

自分の専門科目の基礎科目を1つだけでも徹底的に極めておくことの有利さ

定量的な議論を自ら創り出せるようになる

当該分野の理論が必要な理由だけれど、これは割と自明なことだろう。
ここであえてこのようなことを書く理由は、実験系の人だと、実験自体に非常に時間がかかるために、途中まで頑張っていても、いつからか理論の勉強がおろそかになっていく、という例を死ぬほど見てきたからである(主にわいです。。。)。
そのため、理論の基礎だけでも(例えば、学部で習った量子力学だけでも)、精通していることで、研究においてメチャクチャ有利である、ということが骨身に染みている。

研究とは、最終的な解釈が定まっていない場合が多い。というのも、ある所までは、既存の理論や実験的事実から、「確かにこのように結論付けられる」と断定できるが、たった一つの実験で研究対象のすべてを明らかにすることは出来ないので、その他不明な現象については理論やその他の実験結果の力を借りて、類推で言及するしかない。
そうは言っても、論文にする段階では、定量的な議論に持ち込んで論文を書くことになる。
そのため、理論がクソ出来る場合は、自分で定量的な解釈を打ち立てることも可能であり、実際その例を見てきた。

僕が体験した一例だけれど、某大学の博士が、数学と理論を徹底して極めていて、その結果、半端ない解析をプログラムを交えて行っていたのを見たことがある。理論屋かよ!みたいな。
彼の論文は先生方さえ驚かせたという話を聞いている。
そういう意味では、少ない情報の中で、その系の本質的な振る舞いを描像できる力が、研究力なのではないか?と思うこともある。

 

一つの基礎理論を極めると、他の科目にも応用が利く

電磁気学でも統計力学でも、量子力学でも良いけれど、一つどれかを徹底的に極めた!と自信を持てるレベルになったとします。

すると、同じような式が他の分野でもよく出てくることに気づきます。
一つの現象で、式や振る舞いを把握していると、脳の中に、グラフやその解釈が入っていたりして、似たような現象に対する理解が加速度的に早まる。

また、自然現象を記述する科目である場合、分野を跨いで共通な概念で論じられるものがあります。
たとえば、生物学の恒常性と物理等で扱う熱の拡散とかは似ている。

数学・専門の基礎科目どちらでも得られる利益

この手の、基礎学問と呼ばれるものをやっていると、利になることがほかにも挙げられます。

基礎的な学問のような、難しい学問をやっていると、論理力がつき、難しい本とかもすぐに読めたりする、というのがあると思います。
みんなの体験でも、難しいことにトライしまくっていた結果、久しぶりにかつて難しいと思っていた他分野の記事を読んだら、理解力があがっていたとかありませんか?

直接的な利ではないけれど、これは自分が実感するところです。

 

上記のように、学ぶことはいいことずくしに思えるけれどデメリットもあります。
それは、滅茶苦茶時間がかかることと、根気がいる!ということです。

こればかりは、一番の難点にして、どうしようもない部分ではあります。

最近は、回路の勉強に手こずっていて、その手のことも書いてみようかな!