回路技術

自作3石ディスクリートオペアンプの非反転増幅実験によるフィードバック理論の解析および増幅率の算出

アナログの道は修羅の道(未知)ッ!!

これは、多くの現役世代の初心者アナログ回路修験者たちの声を、ひとまとめにしたものであります。
年始早々なんだと思いになられる諸氏もおられることと思いますが、書かざるをえなかったのです。
世の中に、多くのアナログキッズやハードウェアメイカーを生み出そうと、自らが先陣を切って実験と理論について考察記事を書いていたわけですが、いやはや難しい。
この一言に尽きます。

さて、去年の集大成的実験として、自作で3石ディスクリートオペアンプ回路を作成し、実験しました。

その回路でオペアンプとしての機能を全うし、反転増幅回路を動かすことに成功したわけであります。

しかして、オペアンプの増幅率は想定よりも低く、実験に即した理論的解析を行ったわけではありません。
今回は、その点を克服すべく、ちょっと回路を組み替えて、非反転増幅回路にして帰還回路の理論に肉薄してみましょう。

自作3石ディスクリートオペアンプ実験

回路図

まずは、実験に使用する回路を図1に載せておきます。
前回と異なり、-入力をGNDに接地して、+入力から交流波を印加します。
これで、オペアンプとしては13倍増幅の非反転増幅回路になるわけです。

入力波の設定は以下の通りで、数式として書いておきますと、
\begin{eqnarray}
V_{\rm in} = V_{\rm off} + \sin(2\pi f t)
\end{eqnarray}
となります。
\(V_{\rm off}\)はオフセット電圧でして、直流成分となります。

入力波の設定

ファンクションジェネレーターによる\(V_{\rm in}\)の設定を以下に載せます。
オフセットは0 Vだと、-0.7 V以下まで増幅できないため、0.3 Vかさましした値から実験しています。
計算方法は、上述のオフセットの値を変えるだけで同じですので、やってみてください。

  • sin波
  • \(V_{\rm PP}\) = 0.2 V
  • \(V_{\rm offset}\) = 0.3 V, 0.4 V, 0.5V
  • 周波数 f = 1 kHz

負電源で、-15 Vを使用していますが、直流安定化電源が二つあれば負電源を作ることが可能です。
その方法は、以下の記事を参照してください。

直流安定化電源2つを使って正負電源を作る方法アナログ回路の勉強を開始して、早1年と2ヶ月。月日が経つのは早いものです。 さて、今回はある実験の途中で、正負電源が必要になったのです...

実験の写真

実際の回路を写真で載せておきます。
前回行った、3石ディスクリート反転増幅回路とほぼ同じですが、入力が異なっております。
12 kΩの抵抗だけ、わかりやすくするため、空中に浮かせておりますが、実際実験する時は、他の抵抗と同じように低くしておいた方が良いと思います。

入力波は、ファンクションジェネレータ(RIGOLDG1022A)を使って入力しています。
回路接続の方法は、前回の記事で写真をつけつつかなり詳しく書いておりますので、そちらをご参照ください。

NPNトランジスタ3石ディスクリートオペアンプの設計・詳細な実験手順・実験および回路シミュレーション アナログ回路の中では、花形部品のオペアンプ。 教科書にも多数取り扱われておりますが、理論だけ勉強をしてもイマイチ腑に落ちきらない。...

GNDはオシロのGNDに接続しています。

実験が成功した様子を載せております。
繋いだ様子を載せているので、追従実験する際、多少参考になるかと思います。
詳しい手順は、上述の記事に載っております。

実験結果

交流増幅率の測定

さて、早速交流増幅率を見てみましょう!
非反転なので、位相のずれはありません。
オフセットは0.3 V、0.4 V、0.5 Vいずれも波形に変化はありませんでした。

VPP = 0.2 Vなので、波形の観測結果から増幅率は、2.16 / 0.2 = 10.8倍となりました。

予想の13倍よりは、大分低いですね!
その理由をフィードバック理論の観点から探ってみましょう。

 

直流値の測定結果

ものの本によりますと、回路が左右対称だから流れる左右のトランジスタに流れるエミッタ電流の値も同じ、とありますが、なんのその!そうでもないということがわかります。

実験結果の値を使って、差動増幅回路の増幅率や、回路全体の増幅率を解析してみましょう。

\(V_{\rm offset} = 0.3 {\rm V}\)の場合

 

\(V_{\rm offset} = 0.4 {\rm V}\)の場合

\(V_{\rm offset} = 0.5 {\rm V}\)の場合

 

回路定数の算出方法

回路図と初期条件

まずは、回路定数を決定した方法も書いておきますが、ここは興味ない人は飛ばし読みでも構わないかと思います。
定数が決まっていない状態の回路図を再度載せます。

回路図上のエミッタ抵抗\(R_E\)だけは自分で決めねばなりませんので、とりあえず初期条件として2kΩにしておきましょう。(むしろ、この抵抗の値とかの決め方があるならば知りたい所です)

また、入力波のオフセット直流電圧は、0 Vとして計算してみて、問題があれば随時かえることとします。
交流波は実験と同様にsin波としましょう。

・\(R_E\) = 2kΩ
・入力波のオフセット直流電圧 = 0 V
・交流波はsin波

\(I_{\rm E}\)の算出

差動増幅回路部分の二つのトランジスタがONにならなければ、増幅回路として機能しませんので、ONになっていると仮定します。

すると、以前やりましたように、トランジスタがONの場合は、\(V_{\rm BE}\)が0.7 Vあたりになるわけです。
ベースよりエミッタ側が低くなるので、\(v_{\rm BE}\)は
\begin{eqnarray}
v_{\rm BE}
&=& V_{\rm in} – V_{\rm BE}\\
&=& V_{\rm in} – 0.7  \\
&=& 0 -0.7\\
&=& -0.7
\end{eqnarray}
となります。

この結果から、\(R_{\rm E}\)にかかる直流電圧の絶対値は、|-15- (-0.7)| = 14.3 Vということがわかります。
これは、トランジスタがONになっている限り、この値はほぼ定数値で変わることがありません
そのため、\(R_{\rm E}\)に流れる電流は、定電流となります

これは、この回路にとって、なかなかどうして重要な部分です。
何故なら、この回路は-0.7 Vより下側にsin波が増幅することが出来ない、ということを意味しているからです。

さて、これらの事実より\(I_{\rm E}\)を求めることができます。
\begin{eqnarray}
I_{\rm E} &=& \frac{V_{\rm E}}{R_{\rm E}}\\
I_{\rm E} &=& \frac{14.3}{2 {\rm k\Omega}}\\
I_{\rm E} &=& 7.15 {\rm mA}
\end{eqnarray}

\(I_{\rm L}\)の算出

次に、\(R_{\rm L}\)に流れる電流\(I_{\rm L}\)について考えてみましょう。
回路の左右が対称であることから、左右二つの\(R_{\rm L}\)に流れる電流\(I_{\rm L}\)はエミッタ抵抗に流れる電流の半分と考えます。
\begin{eqnarray}
I_{\rm L} = I_{\rm E} / 2 \simeq 3.6
\end{eqnarray}
上述の値は、小数点一桁で四捨五入した値です。

\(R_{\rm L}\)の算出

\(R_{\rm L}\)には3.6 mA流れるということがわかりましたので、抵抗値\(R_{\rm L}\)を算出しましょう。
差動増幅回路の右側のトランジスタは、増幅された電圧が出てくるので、既に交流が大きくなっております。

増幅率がかなり大きい場合は、+ にも-側にも波が振れるわけです。
一方で、制約条件として直流の最大値は15 V 、最小値は-0.7 Vと決まっております

最終的な出力の直流電圧値を、中間の7Vあたりにしておけば、7 Vを中心に+-8 V程度の振幅を持つことが許されるというわけです。
最終的な出力は、エミッタフォロアですので、基本的に増幅率はほぼ変化しませんが、トランジスタを一つかませていますので、直流電圧が0.7 V低くなります。

数式で表すと、実際の出力の直流電圧は、
\begin{eqnarray}
V_{\rm out} = 15 – R_{\rm L}I_{\rm L} – 0.7
\end{eqnarray}
となります。
この最終出力が7 Vになればよいので、
\begin{eqnarray}
7 = 15 – R_{\rm L}I_{\rm L} – 0.7
\end{eqnarray}

これを解くと、\(R_{\rm L} = 2.03 \simeq 2 {\rm k \Omega}\) にしたら良いということがわかります。

帰還回路の仕組みから見る\(R_{\rm 1}\)、\(R_{\rm 2}\)

次に、帰還回路部分の抵抗値について考えたいと思います。
この部分は、非反転増幅の増幅率を決める部分の回路です。

電流が流れる部分だけ、取り出して考えてみましょう。
この回路は負帰還回路なので、イマジナリーショートが適用されます。
その結果、+入力のベースの直流電圧が0 Vなら、-入力のベースの直流電圧も0 Vになります。
直流は0だけれど、実際は交流のsin波として、+→-→+・・・と時間ごとに振動しているわけです。
+と-の二パターンにわけて、電流の流れから出力の電圧がどうなるかを考えてみましょう。

仮に、下の図のような抵抗値だとしますと、sin波が+の時は左のように電流が流れます。
イマジナリーショートの部分が+電圧になりますので、GNDに向かって電流が流れていきます。
トランジスタのベースの方は、基本的にインピーダンスが大きいので、電流が流れません。
とすると、そのまま、下の12kΩの抵抗の方から、電流が流れ込んでいるということになります。
つまり、1 kΩと12 kΩは直列接続なのです

ということは、単純な分圧回路となっていて、出力の部分は、V + 12V = 13Vの電圧がかかるということになります。
この現象を「増幅」とうたっているわけですね!
-の場合もこの逆に電流が流れるだけで、仕組みは同じです。
この考え方を、理解しておけば、公式を暗記する必要はありません。


以上、見ましたようにグランドとイマジナリーショート間の電圧をR2の抵抗分大きくすることが出来るわけです。
ですので、増幅として使いますと、
\begin{eqnarray}
R_{\rm 1} <  R_{\rm 2}
\end{eqnarray}
という条件となります。

\(R_{\rm 3}\)、\(R_{\rm 4}\)の決定

この二つの抵抗は、それぞれエミッタフォロワのエミッタ抵抗と負荷抵抗です。

負荷抵抗\(R_{\rm 4}\)に関しては、値を変えても電圧が変化しないとみなせるため、異常に大きい値などでなければ大丈夫でしょう。
そこで、1 kΩを選択しました。

エミッタフォロワのは、出力の電圧を一定に保つ働きがあります。
電圧を一定にする代わりに、電流値を変化させることが出来るというものでした。

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そのため、電流値がそこまで大きくならない程度の抵抗ということで、1 kΩを選択しています。

この抵抗の厳密な定め方は、まだよくわかっていないので、何らかの理論的根拠があれば知りたいですね!

交流増幅率の算出

トランジスタの入力抵抗のおさらい

今回のディスクリートオペアンプの増幅率をこれまで学んだ理論から導出してみましょう。

回路の増幅を担う部分は差動増幅器のみです。
ということで、差動増幅回路の増幅率の算出方法について記します。

ここで、以前学びました、トランジスタの入力抵抗の考え方を使います。

それがどういう考え方であったかと言いますと、トランジスタはダイオードを繋ぎ合わせたような形で出来ているため、ダイオードの物理に従って電流-電圧特性が変化するというものでした。

いわゆる、以下の図のような形でエミッタ電流がベース電圧の関数として表されます。
その関数を微分して、傾きを出すと、それがそのまま入力抵抗の値になるというお話でした。

このお話からすると、トランジスタは、微小信号の場合は、下図の一番右の等価回路によって表されるわけです。
エミッタ側の入力抵抗、\(r_{\rm e\)は、電流値によってかなり傾きが異なるため、都度\(I_{\rm E}\)を指定してやらねば、値がずれます

結果として、室温300 Kの時は、
\begin{align}
r_{\rm e=}  \frac{I_{\rm E}}{0.026} 
\end{align}

となります。

詳しい説明は、当該記事に書いておりますので、気になる方は読んでみてください。

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この差動増幅回路は、この入力抵抗\(r_{\rm e}\)を考慮に入れて考えると、中にエミッタ接地回路を内包していることに気付きます。

ということなので、増幅率が以前やったエミッタ接地回路の増幅率の式により、計算できることになるわけです。

\begin{align}
V_{\rm out} =  – \frac{R_{\rm L}}{r_{\rm e}}V_{\rm in} \tag{3}
\end{align}

その導出方法と実験・シミュレーションは以下の記事をごらんください。

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次に、入力波の交流成分の電流の流れについて見てみましょう。
交流成分は以下の図のように+と-で電流の流れが逆になります。

また、直流成分では一番下のエミッタ抵抗に全ての電流が流れていましたが、交流成分は異なる流れ方をします
交流と直流では何故電流の流れ方が違うのかを追求する必要がありますが、現在把握しきれていません。。。
根源的な問いだけど、何故!?単純に考えると、インピーダンスが低い方に電流は流れるはずです。
これについて、もう少し深く考えてみます。

 

出典:なぁんちゃって電子工学(P349)

小信号交流の場合、上記のように電流が流れるということを認めるとすると、\(r_{\rm e}\)は直列となります。
そのため、\(r_{\rm e}\)の直列接続となり、分母の抵抗値は2倍となるわけです。

\begin{align}
V_{\rm out} &=&  – \frac{R_{\rm L}}{2r_{\rm e}}V_{\rm in}\\
&=& – \frac{R_{\rm L}}{2} \frac{I_{\rm E}}{0.026}V_{\rm in}\tag{4}
\end{align}

が、差動増幅回路における増幅率となります。

実験結果による差動増幅回路の増幅率の導出

\(V_{\rm offset} = 0.3 {\rm V}\)の場合

\(R_{\rm E}\)に流れる電流を求めましょう。

\begin{eqnarray}
I_{\rm E} &=& \frac{V_{\rm E}}{R_{\rm E}}\\
I_{\rm E} &=& \frac{|-15 – (-0.36)|}{2 {\rm k\Omega}}\\
I_{\rm E} &=& 7.32 {\rm mA}
\end{eqnarray}

左右に流れている、個々の\(I_{\rm C}\)も求めておきましょう。

\begin{eqnarray}
I_{\rm C左} &=& \frac{15 – 9.9}{2 {\rm k \Omega}} \simeq 2.5{\rm mA}\\
I_{\rm C右} &=& \frac{15 – 5.2}{2 {\rm k \Omega}} \simeq 4.9{\rm mA}
\end{eqnarray}

足し合わせると、7.4 mAなので0.1 mAの誤差はあるものの、ほぼ間違いないようです。

これにより、左右のトランジスタのエミッタ側の入力抵抗を求めることが出来ますので、それぞれ求めておきましょう。

\begin{eqnarray}
r_{\rm e} &=& \frac{0.026}{7.4 {\rm mA}} = 3.5{\rm \Omega}\\
\end{eqnarray}

増幅率の計算に-がついているのは、反転を意味していますので、ここでは省いて計算します。というのは、増幅率Gの値だけが知りたいからです。

\begin{eqnarray}
G &=& \frac{2000}{2\times 3.5} \simeq 286\\
\end{eqnarray}

差動増幅回路の増幅率Gは286倍であるということがわかりました。
とはいえ、負帰還がかかっているので、フィードバックされたは、帰還回路により13倍あたりの値になっているはずです。
実際に合っているかどうか確かめるには、帰還回路を外して差動増幅回路のみで実験しないとなりませんので、いずれ行う予定です。

フィードバック回路の理論値と実験値の比較

フィードバック回路とは?

フィードバック回路(帰還回路)は、初学者にとって、割と意味不明な回路でして、そもそもどうやって帰ってくるのかもわからなければ、なぜ安定するかも不明という不思議な回路です。

今回はその理論に焦点を当て、実際に解析し実験値と比較することでその妥当性を探ってみましょう!

フィードバック回路の一般的な回路図を以下に載せております。

\(F\) : 帰還率

\(G\) : 増幅器の増幅率

入力波である\(v_{i}\)は、Aにに来ると、帰還回路によって戻ってきた波とぶつかります。
そこで、重ね合わせの理により、波の重ね合わせが生じるわけですが、帰還の種類によって、+か-の2種類に分類されるわけです。

-の場合、負帰還と呼ばれ回路が安定化します。その原因を理論的に探りましょう。

次に、出力である\(v_{o}\)は帰還によりF倍され戻ってきます。

Aの所に達すると、入力波の\(v_{i}\)と足し合わされるわけですが、負帰還なので-となり、

\begin{equation}
v_i – Fv_o
\end{equation}
となります。
Aを入力として、増幅器で全体がG倍に増幅されますから、出力は

\begin{equation}
v_o = G(v_i – Fv_o)
\end{equation}
です。

これを変形させて、出力/入力として回路の増幅率を出しますと、
\begin{eqnarray}
v_o &=& G(v_i – Fv_o)\\
v_o &=& Gv_i – GFv_o\\
v_o(1 + GF) &=& Gv_i\\
\frac{v_o}{v_i} &=& \frac{G}{1 + GF} \tag{1}
\end{eqnarray}

となります。
これは、全ての変数が有限の値であるということを前提としています。
仮に増幅器が理想オペアンプの時のような、増幅器の倍率が無限大の場合を考えてみましょう。

増幅器の倍率が無限大の場合(\(G\rightarrow \infty\))

ここで、増幅器の増幅率Gが無限大だと仮定して、計算を進めてみます。

\begin{eqnarray}
\frac{v_o}{v_i} &=& \lim_{G \to \infty} (\frac{G}{1 + GF})  \\
&=& \lim_{G \to \infty}(\frac{1}{1/G + F})\\
&=& \frac{1}{F}\tag{2}
\end{eqnarray}

結果を見てみますと、増幅率Gの寄与が一切なくなり、入出力関係は帰還率Fのみに依存するということになります。

Gはオペアンプやトランジスタなど温度・電圧依存して変化する能動素子が使われるが、Fは抵抗などの受動素子が主を担うため、動作が比較的に定数値になりやすい、というのが数学的な安定性の意味であるということが判明した。

また、増幅率Gが有限の値でも、値が大きいほど、安定性が上がるということがわかります。

負帰還の安定性が示す意味 : 増幅率が無限大の場合、もともと安定性が高い受動素子の成分だけで、入出力関係が決定される

これにより、式(1)と式(3)からフィードバックを含めた回路の増幅率が求められるというわけです。

実験結果による回路の増幅率の導出

左右に流れるエミッタ電流は違っていても、トランジスタの下の電圧が-0.36 であることから、\(V_{\rm BE}\)だけ下がっていることがわかります。
則ち、トランジスタはON状態であるということです。

そのため、差動増幅回路の下にある抵抗(回路図の\(R_{\rm E}\))は、ほぼ定電流になっていると考えられます。
ということで、式(3)により差動増幅回路の増幅率を計算してみましょう。

\(V_{\rm offset} = 0.3 {\rm V}\)の場合

 

式(1)を使って、オペアンプの増幅率が有限の値の場合の、フィードバック回路の増幅率を求めてみましょう。

帰還率は、帰還回路の抵抗の分圧比になるので、F = 1/13。
差動増幅回路の増幅率は先ほど求めた通り、G = 286の値を使用します。

回路の増幅率をAとすると、
\begin{eqnarray}
A &=& \frac{286}{1 + \frac{286}{13} }\\ 
&\simeq& 12.43{\rm \Omega}
\end{eqnarray}

オペアンプの倍率が有限である場合、∞の時より、倍率が少し下がるということが、実験値を用いた結果からも明らかになりました。

しかし、測定値は10.8倍でしたので、まだだいぶ下がるという結果になっており、頭をひねっております。

実験装置および部品一覧

部品 会社・型番 値段
オシロスコープ RIGOL DS1054Z 55944円
ファンクションジェネレーター RIGOL DG1022A 45862円
直流安定化電源 × 2 YaeCCC MS305-D 5900円 × 2
デジタルマルチメーター(テスター) 三和 PC7000 24641円
装置の合計金額   138247円
フレッドボード 秋月電子 BB-2T2B 600円
680Ω抵抗 × 1    
1 kΩ抵抗 × 3   セット価格(2080円)
2kΩ抵抗 × 3   セット価格
12kΩ抵抗 × 1    
NPNトランジスタ × 3 Toshiba社 2SC1815 セット価格
部品の合計金額   2680円