回路技術

NPNトランジスタ(2SC1815)によるエミッタ接地回路【1】:挙動を実験とLTSpiceで確かめる(失敗実験)

たぬしでしー。
はぁ、最近は毎日眠い。。。
ギター練習・論文・会社でやったことの理論的勉強・家での回路実験等タスクが溜まりすぎていて、やばいです。。

さて、以前定電流回路の実験を行ったけど、この回路が何故定電流回路になるのか根本的な理由がよくわかっていないままでした。
トランジスタが二個つながれることで、挙動が把握しにくいし、そもそもトランジスタというものが、どういう挙動をするのか、本当には知らない、ということに行き着きました。
ネットを調べてみると、トランジスタ単体だけの実験があまり存在せず、情報が少なかったです。
一方で、トランジスタを使った~回路というのは大量に情報が存在しています。

そこで、まずはトランジスタ単体の挙動を測ってみてみようと思い、以下の実験を行うことにしました。
でも、この実験で定電流回路が、何故定電流になるのかがわかるのか?と言われると、わからないと思われます。
何故なら、目的が明確に定まっていない、とりあえずやってみた、実験になってしまっているからです。

回路をやり始めてから二か月経ち、シンプルにトランジスタが何なのか?さえ、あまりわかっていないことに気付いたけれど、まだどういう設定をして実験をしたらいいのかさえ不明確であります。
まずは、ちょっと動かしてみて、回路の動作に手当たり次第慣れていこうかな、という感じです。
後記:適当に抵抗を選んだため、実験に失敗しています。何の意味もない実験になっている可能性が高いのですが、そこからわかったこともあったので、あえて恥を晒しておきます。

エミッタ接地とか~接地回路ってものを、あまり意識してこなかったけれど、実験してみて、重要なのだ、ということが実感としてわかってきました。

エミッタ接地回路の回路解析

エミッタ接地回路図1 エミッタ接地回路

エミッタ接地回路とは?

エミッタ(E)がグラウンド(電圧 = 0 Vの場所)されていることを指して、エミッタ接地と呼んでいます。
図1のEを下にたどると、三角形のマーク(△)があると思うけれど、これがグランドを指してます。
トランジスタはエミッタ、ベース、コレクタと三つの素子があるので、それぞれをグランドに取ることが出来ます。
実際に、三つの接地回路が存在していて、機能が違うため、「~接地」を意識して回路を組まねばならん、ということになります。
エミッタ接地の場合、増幅器としての機能を持ちます。

 

回路解析

定量的な回路解析を行います。
(注:これをやったのが実験後なので、先にやっておけばよかったと後悔!

目的は、トランジスタの静特性に必要な\(V_{\rm {CE}}\)と\(I_{\rm C}\)を導出することです。
このトランジスタの静特性、これまで本とかで見てはいたものの、あまり意味がわかっておりませんでしたが、確かに重要なのだろう、ということがやっとわかってきました。
実験すると、そこらへんの実感が得られるので、数式追ってもわからない人は、とりあえず実験始めるのが良いと思います。

さて!まずコレクタ電流を求めます。トランジスタは、ベースに流れた電流を\(h_{\rm {FE}}\)倍して、コレクタ電流に流すという増幅作用があるので、この増幅される電流の値は重要であることは、なんとなく察せられます。
この\(h_{\rm {FE}}\)の値はトランジスタの製品それぞれで変わります。

\begin{align}
I_B = \frac{V_{CC} – V_{BE}}{R_B}  \tag{1}\\
I_C = h_{\rm {FE}}I_B      \tag{2} \\  
\end{align}

(2)に(1)を代入すると、

\begin{align}
I_C = \frac{h_{\rm {FE}}(V_{CC} – V_{BE})}{R_B} \tag{3}
\end{align}

となります。次にグランドとエミッタ間の電圧\(V_{\rm {CE}}\)を求めます。
\begin{align}
V_{CE} = V_{CC}  – R_LI_C = V_{CC}  – \frac{R_Lh_{\rm {FE}}(V_{CC} – V_{BE})}{R_B} \tag{4}
\end{align}

今回は、実験を先にやってしまったので、後付けになるが図4の回路図の抵抗値( \(R_{\rm B} = 10 K\Omega\), \(R_{\rm L} = 10 K\Omega\), \(h_{\rm {FE}} = 100, V_{CC} = 2, V_{BE} = 0.6\) )で結果を予測してみましょう。

\begin{align}
I_C = \frac{100\times (2 – 0.6)}{10 K\Omega} = 1.4 \times 10^{2}(A)
\end{align}

\begin{align}
V_{CE} = V_{CC}  – R_LI_C  = 2 – 10 K\Omega \times 1.4 \times 10^{2}A = -138 (V)
\end{align}

グランドとエミッタ間の電圧\(V_{\rm {CE}}\)がマイナス!?ここで、既におかしいことになっていますwwやはり、数値解析は実験前にやるべき!ということがわかりました。
次に、東芝が公表している2SC1815のデータシートから、コレクタエミッタ間電圧とコレクタ電流の関係を見てみましょう。
図2と見比べると、そもそもマイナス側のグラフが表示されていません。(特性は存在するけれど、僕は把握出来ていない、、、)
0 V付近の、赤丸で囲ったあたりを見てみると、コレクタ電流がこれから流れ始めるぞ!といった立ち上がり領域であり、\(V_{\rm {CE}}\)が極端に低いと、コレクタ電流は流れないということを表しています。
この領域のコレクタ・エミッタ間電圧で実験してもコレクタ電流は増幅して流れないということになります

静特性図2 2SC1815の静特性

必要な部品と実験回路の写真

実験写真図3 直流安定化電源(左)と実験回路写真(右)

必要な部品

部品一覧 型番 値段
直流安定化電源 DPS-3003(CUSTOM) 14091円
フレッドボードEIC-102B EIC-102B 700円
10 KΩ抵抗 × 2   360円(100本)
トランジスタ × 1 2SC1815 183円(20個)
テスター CD731a 7980円

家で、実験できるように、直流安定化電源買ってしまった。。。。><。
直流の実験なら、かなりいい気がしますね。一万円台で買えますし!
もちろん実験でやる際は、電池で置き換えても可能です。
しかし、電圧を変化させる実験の場合、電池で変えるのって面倒くさいという罠が!!
また、前回、ユニバーサル基板で作ったのが滅茶苦茶大変だったため、今回はフレットボードを使いました。

抵抗やトランジスタのバラの値段を上記に載せましたが、よく使う部品がいっしょくたにまとめられて売っているセットがあるので、それを買った方が楽だと思います。
たぬし氏はOsoyooの電子工作部品セット(2080円)を使っています。
テスターは、今売っていて、電流と電圧測れるものなら、何でも良いと思います。
自分は古いの使っているので、もう売ってないような機種ですが、一応紹介しておきます。

物性の実験に比べて回路の実験は個人でも出来る位安くて、取っつきやすいです。。。
精度が粗い測定でも、高校生とか初学の時は問題ないだろうし、中高生で実験していたら、高校電磁気とか超簡単って思うようになるだろうなぁ。
いずれは交流の実験が出来る装置も欲しいなぁ、、。オシロスコープやファンクションジェネレータはちと高いですしねー、、これはさすがに気軽にはなかなか買えない!→ 買いました。

関連記事: 電気回路実験を始めるにあたって必須な装置紹介 : 直流安定化電源、RIGOLデジタルオシロスコープ(DS1054Z)とRIGOLファンクションジェネレータ(DG1022A)を勢いで買った!

CD731aは絶版で売られていないので、もう一つは僕が使っていておすすめかつ2018年現在最強のテスターの一つである三和のPC7000を載せておきます。

配線する時の注意

フレッドボードを使うと、配線が滅茶苦茶楽です。
何か、特定の装置を作るとかではなく、実験的に回路を手軽に組みたい場合はフレッドボードがオススメです。
この楽さ、マジパネーション!って感じになります。
記事に出来なかったのですが、3石でオペアンプの回路を作った時、あまりの配線の難しさに死にそうになりましたし、時間かけた割に回路自体動きませんでした。
安いので、電子回路工作やりたい場合は、とにかくフレッドボードをゲットしましょう。

あと、回路写真に載せていますが、トランジスタにはE(エミッタ)、B(ベース)、C(コレクタ)の三つの足があります。
教科書の順番とは違うので注意が必要です。

実験結果

行った測定は、入力電圧に対するエミッタ・ベース間電圧、ベース・コレクタ電圧・エミッタ・コレクタ電圧およびR1とR2に流れる電流の測定です。

エミッタベース電圧は普通のダイオードと同じ振る舞いなので、0.6 Vで飽和する振る舞いをすることが見られていますね。コレクタベース電圧は、エミッタベース電圧と振る舞いが似ていますが、謎です。

左のグラフ上の点線は、大きく変化が見られる部分に引いています。
今の所、すべての現象に相関があるのか不明です。
エミッタコレクタ電圧は急激に立ち上がってから、0に漸近していく振る舞いをしていますが、これは全く知らない現象です。

R1電流がR2電流より大きいことから、確かに増幅していることはわかる。
しかし、2SC1815の電流増幅率は75であり、右下のグラフからわかる増幅率は最高でも12程度。
異常に、増幅率が小さい気がしたので、色々調べていたところ、やはりエミッタ・コレクタ電圧が関係しているようです。
これらの事実を総合すると、1 V以降エミッタ・コレクタ間電圧が飽和する傾向と右上のR1電流がR2に比べてさして増幅していないことから、エミッタコレクタ間電圧が小さすぎて、トランジスタの増幅に必要な電圧に足りていないということに気付きました!!

成功していたら、増幅率はある程度一定になるんやないのけ?というのも疑問です。

 

実験結果図4 実験結果のグラフ

LTSpiceによるシミュレーション

 

以下の回路でシミュレーションを行ってみましょう!

シミュレーション回路図図5 LTspiceのシミュレーション回路図

 

 

 

LTSpiceのシミュレーション設定方法

今回のシミュレーションでは、抵抗値はよくわからんので、固定して、入力電圧を変化させてみることにしました。

  1. V1の入力電圧(直流)を0 ~ 5 (V)まで振る
  2. 時間軸は100 s

1.のV1の値を振る方法は、以前の定電流回路の実験の方で詳しく説明したので、ここでは条件だけ、述べておきます。また、上の回路図では2SC1815-Yの数値データをLTSpice上で作成して使っております。その方法も、上のリンク先に載ってますので、参考にしてみてください。

さて、1.の条件の設定は、

  • SimulateのEdit Simulation Cmd → DC sweep をクリック!
  • Name of 1 st source to sweep : V1
  • Type of sweep : linear
  • Start value : 0
  • Stop value :5
  • Increment : 0.02

2の条件は、0~100秒後までの100秒間計算させ電圧の時間変化を見る、というものです。
これはなくても良いかもしれません。直流だし。。
2の条件の設定は、TransientのStop timeに100sと入力するだけです。

あとは、上の回路図を作って、Runさせるだけです。

シミュレーションさせる際の注意!

今回陥った罠は、極めて巧妙でした。。。
回路図を書いて計算させるも、いつもなら一瞬で終わるところ、何分経っても終わらないのです。

Stepping Source: 100% step size=5.44435e-005 N-R iteration: 20(*1) fill-ins: 50 (Press ESC to quite)

のような、文字列が現れ、ずーっと計算が終わらない。
その理由は、「グランド記号を回路につけていなかった」ことです。

閉回路でもグランドの記号(▽)は絶対に付けておかねば、なりません。
付けて計算させたら、一瞬で終わりましたw
この問題で1日悩んでいたので、LTSpice初心者は気をつけられたし。

シミュレーションの結果

うーむ、エミッタコレクタ間電圧の謎の振る舞いを再現しているから、何か物理的に明確な原因があるんだろうなぁ。
自前の本では、静特性とか以外でエミッタコレクタ間電圧について述べてる本なかったし謎深まる。
その他のグラフの振る舞いも大体は一致しているけれど、R1電流とR2電流は実験結果と全然違いますね。
シミュレーションからすると、ほとんど増幅してないように見えるし、明らかにベース電流足りなかったのかもしれない。。。

シミュレーション結果図6 LTspiceによるシミュレーション結果

 

まとめ

実験は、失敗したし、基本意味がわからないけれど、トランジスタの挙動に関して考慮すべき点が確実に二点はあることがわかりました。

  1. トランジスタの挙動は、ベース電流のみならず、エミッタコレクタ間電圧が重要(適当だと動かない)
  2. 回路解析を実験の前にやるべき。そして定量的に各素子に必要なパラメータを算出してから実験をすること。

エミッタコレクタ間電圧に関して言えば、トランジスタの静特性グラフを見ることが重要ということもわかりました。
意味不明な実験ではあったけど、得ることはあったかな。。。。><。。

次回は、同じ設定で、設計を先に行ってから、もう一度実験をやり直します。

ちゃんと設計してからのやり直し実験は→

NPNトランジスタ(2SC1815)によるエミッタ接地回路【2】:設計と実験およびLTSpiceによるシミュレーション(固定バイアス回路)たぬしです。 エミッタ接地回路1の続き記事です! 電子回路やはり難しいなぁ。 教科書とか読むだけじゃ、アナログ回路は身につ...