会社に入社し、回路の勉強を始めて、5ヶ月目です。
なんだか、あんま進んでない気がしますねー><。
ついに、実験の幾多の問題を乗り越えて、トランジスタによる簡単な電圧増幅回路の実験の結果が出ましたので、報告します。
前回、\(V_{\rm in}\)の10倍の電圧増幅が\(V_{\rm out}\)に現れるような回路を設計しました。
結果は、実験に成功し、およそ、\(V_{\rm in}\)の約8倍ほどの振幅が得られました。
しかし、何故理論値の10倍からずれていくのかという点については、抵抗の値や配線の内部抵抗等の理由があると思いますが、原因がわかっていません。
早速回路図から見てみましょう。
この記事と全く同じ回路のシミュレーションはこちら。
→ トランジスタ(2SC1815)によるエミッタ接地回路【4】:電圧増幅回路の設計とLTSpiceによる詳細なシミュレーション
実験のセッティング方法
エミッタ接地増幅回路図

図1の回路図をブレッドボードの上で繋いだのが、図2です。
fritzingというツールを使ってみましたが、便利過ぎます。
選べる素子がたくさんあるわけではないので、そこらへんは自分で増やす必要があります。
写真を載せる必要があるのか?と思うほどに見やすい。(会社の現場では、実際の写真撮りまくるし、配線とかかなり重要だから、何回も見ております)
実際にどう繋いでるかというのも、非常に重要、というか主に僕はそこがわからなかったので、追従実験できるように、色々な手法で回路図や写真を載せようと思っております。
使用した部品および装置一覧
セット購入の部分ですが、よく使う部品がいっしょくたにまとめられて売っているセットがあるので、それを買った方が楽だと思います。
たぬし氏はOsoyooの電子工作部品セット(2080円)を使っています。
オシロスコープとファンクションジェネレーターが結構の値段を食っていますね。
部品および装置 | 社名・型番 | 値段 |
オシロスコープ | RIGOL DS1054Z | 55944円 |
ファンクションジェネレーター | RIGOL DG1022A | 45862円 |
直流安定化電源 | CUSTOM DPS-3003 | 14091円 |
ブレッドボード | 秋月電子 BB-2T2B | 600円 |
トランジスタ × 1 | TOSHIBA 2SC1815 | セット価格(2080円) |
1 kΩ抵抗 × 1 | セット価格 | |
10 kΩ抵抗 × 1 | セット価格 | |
テスター | SANWA CD731a(もう廃番) | 7980円 |
総計 | 94986円 |
CD731aは絶版で売られていないので、もう一つは僕が使っていておすすめかつ2018年現在最強のテスターの一つである三和のPC7000を載せておきます。
実際の実験のブレッドボード図と写真

図3の赤いワイヤーは直流安定化電源の +側、黒ワイヤーはGNDにつながるようにしてあります。
直流安定化電源の−側に繋げば、それでGNDになりますが、一応、オシロのGNDにも繋いでおります。
一方、ファンクションジェネレーターからプローブを通してsin波を入力しています。
プローブの入力を黄色いワイヤーに繋ぎ、プローブに付いているもう一つの黒いワイヤーはGNDに繋ぎます。
\(V_{\rm out}\)の白いワイヤーは、オシロスコープから出ているプローブに繋がっています。

前回の記事でこの回路の電圧増幅率は二つの抵抗のみで決まる!ということを導きました。
その式をおさらいしておくと、
\begin{align}
V_{\rm out} = – \frac{R_2}{R_1}V_{\rm in}
\end{align}
でした。
シミュレーションでは、\(V_{\rm CC}\)を少しずつ変化させていくと、最終的にはきちりと10倍に増幅していく様を紹介しました。
→ トランジスタ(2SC1815)によるエミッタ接地回路【4】:電圧増幅回路の設計とLTSpiceによる詳細なシミュレーション
GND端子をしっかりと取らないと波形がぶれる
今回は、GND端子を直流安定化電源の-に繋いで取っています。
ブレッドボードの図で言うと黒色のワイヤーはすべて、直流安定化電源の-端子(GND)へ向かっています。
これをしっかりと取らないと、実験に失敗するので要注意!!
僕は直流安定化電源の表記に騙されて、装置の真ん中にあるGNDに繋いだりしていましたが、偽GNDであることがわかり、ダメでした。
一見、GNDと書いてあっても、そうではない場合があるので、皆さまも自分の持ってる装置のGNDは調べた方がよいです。
僕は、そこらへんがわからず、結局社長に泣きつきました。
( `´)ノ「社長、、、GNDに繋いでも、波形が妙にぶれて実験にならないんです。。結果が出ないんです。(ぽろり」
社長o(゚ー゚o)「えー、まじDE-? それ、GNDが本当に繋がってるかテスターで調べた?」
( `´)「た、たぬ!?どうやってやるんでしょう。。」
社長o(゚ー゚o)「簡単よう。装置の電源切って、GNDと+端子とか繋いでみて導通があればGNDに通ってるってことよ~」
( `´)「まじですKA !」
ということで、実際家に帰ってやってみたら、O.L.(オーバーロード)となっており、繋がっていないことがわかりました(図4参照)。
同じ方法で測定すると、オシロスコープの下側はきちりと導通しており、GNDに落ちていることがわかりました。
というわけで、一応本実験でもオシロのGNDに繋いでいます。

実験結果
図3に\(V_{\rm CC}\)を0 ~ 4 Vまで変化させて実験した結果を載せています。
黄色い波形が\(V_{\rm in}\)なので、変化はないです。
ファンクションジェネレーターによる\(V_{\rm in}\)の設定を以下に載せます。
- \(V_{\rm PP}\) = 1.000 V
- \(V_{\rm DC}\) = 1.000 V
- 周波数 f = 100 Hz
\(V_{\rm CC}\)が0 Vの時は、ほぼ同じようなsin波が出ていますが、電圧を上昇させていくと、少しずつ山が出てくる様が見えます。
その山は\(V_{\rm in}\)の波とちょうど反転していることから、この部分は増幅されているということがわかります。
この部分は、シミュレーション結果からエミッタコレクタ間電圧に空きが少しある部分であることがわかっています。

さらに\(V_{\rm CC}\)を上昇させ、4 ~ 7 Vまで変化させてみると、ようやく綺麗な波の上部が現れたようになります。
つまり、\(V_{\rm CC}\)を振ることで、増幅させる電圧の幅を変えていることになります。
電圧を増幅させても、バイアスの上限を、増幅後の振幅の2倍より大きくとっておかないと、完全に波の形が出てこないのです。

さらに\(V_{\rm CC}\)を上昇させ、10 Vになると、完全にsin波の反転した形の波が現れました。
確かに、理論値式でも-がかかっており、反転が数式でも表されていることが見て取れます。

さて、肝心の増幅率ですが、オシロスコープで測定してみると、まず\(V_{\rm in}\)が1. 2Vとなっていました。
ファンクションジェネレータでは1 Vに設定したので結構な誤差(20%)があることになります。周波数(Freq)はどちらも100 Hzで正しく出ています。
チャンネル3の波のVPPは9.2Vであることがから電圧増幅率は、7.67倍となりました。
けれど、何故きちりと10倍付近にならないかは、現在調べ中です。

今回は、エミッタ接地の電圧増幅回路の電圧増幅を実際に確認しました。

2019年8月5日追記
このエミッタ接地回路を対称に重ね合わせた増幅回路(差動増幅回路)を用いて、3石ディスクリートオペアンプの作成と実験を行いました。
エミッタ接地増幅回路が基礎になっていますので、応用編として楽しめると思います。

ベース接地とコレクタ接地回路の検証
ベース接地とコレクタ接地(エミッタフォロワ)回路についても記事を書きましたので、参照ください。
ベース接地もそこそこ意味不明でしたが、エミッタ接地をやった後に、同じ電圧増幅できる回路としてみると多少分かりやすくなります。

この回路が3つの接地回路の中で一番意味不明だったのですが、何が一番肝なのかを載せておりますので興味ある方はぜひー!
