たぬしです。
日本の人口【1】データから見る人口推移と男女比率。推定される生まれる子供の人数の予想
という記事を書いて以降、人口について、色々データは見ていたりしたものの、記事としてまとめるほどの余力もなく、うだうだと生きておりました。
というのは、興味を持ったことでないと、真面目に記事を書こうと思えないことも一因であります。
今回の記事では、人口減少が騒がれているけれど、現象度合いがどれくらいなのか?ということや、人口がどう減っていくのかを今わかっている事実から、少し考えましたのでまとめておこうと思います。
目次
2000年以降の日本の総人口の推移
2018年10月1日時点で、日本全国には126443180人(1億2644万)の人が居ることが分かっております。
下の図1を見てみますと、2010年をピークにして8年連続して降下している様が見て取れますね。
確かにまっすぐと人口が落ちておりまして、このままでいけば絶滅の危機を感じるような現象傾向にあります。
しかし、自然科学をたしなむ人は、ずーっとこのまま落ち続けるというようなことは起こらないだろうと、直観的に感じることと思います。
自然科学の一般的な考え方を少し応用して、今後の人口の減少を少し考えてみるとします。
- 出典
「人口推計 -平成31年3月報」(総務省統計局) を加工して作成

2018年以降の人口変化を考える
自然の変化は指数関数的
大きな視点から世界を眺めた時、自然の変化は、ずっと上がり続けたり、ずっと下がり続けるというような現象を目にすることは少なく、最初は変化が大きく、最後の方は変化しなくなり、一定値になります。
図2に指数関数的振る舞いの典型的な一例を載せております。
時間が経つと一定値に落ち着いている様が見て取れると思います。


このような振る舞いを示す具体例として、第一に挙げられるのが、僕のサイトでは電気回路の過渡応答でしょう。
過去に電気回路の過渡応答のシミュレーションをした一例ですが、コイルと抵抗の電圧の変化は、指数関数的になっていることが見て取れます。
他にもざっと考えただけで、放射線の半減期や、力学における減衰振動など、指数関数で多くの自然現象の動きを表すことが出来ます。
この指数関数的振る舞いを使って、人口の変化を予測してみましょう!
余談ですが、このような指数関数的な現象に準じない現象もあるわけで、その最たる例が量子的な現象ですね。
この手の話は、複雑なので、もう全てざっくりといきます笑
指数関数的振る舞いを使った、人口の予測
さて、大自然の多くは先に説明した、指数関数的振る舞いをするということを根拠に、人口を予測してみます。
先の議論に照らし合わせてみますと、2018年以降も人口が減っていき、いつかは人口が一定値になると予測できるわけです。
具体的な数字を出すためには、数学の力を借りねばなりません。
図1と指数関数の形になるような数式を使います。
下の図4の赤い●は、図1と同じ人口の推移を表しています。
まずは、図4の赤い●だけを見て頂いて、青い線は無視してもらって構いません。
図4では西暦2200年までと、長く取っていますので図1より赤い●がつづまって見えておりますが、図1と全く同じグラフです。
2010年から2018年までと人口が減少している範囲が非常に短いので、あまり説得力はありませんが、この間に指数関数の動きを当てはめてみます。
すると、下の青い線のようになりました。
赤い●に、青い線が重なっているので、うまく指数関数の振る舞いに乗っていることがわかります。
このような手法を、フィッティングと言います。
次の章で本筋とは関係ないですが、フィッティングの際に用いたパラメータ等を載せておきます。
結果だけ知りたい人は、読み飛ばしてください。
およそ2100年には、ほぼ一定になるようで、その値はおよそ1億2372万人とわかりました。

フィッティング関数(ここは解析の項目なので読み飛ばしてもらっても本筋に関係ないです)
フィッティングに用いた関数は、
\begin{equation}
f(x) = y_0 + A_1 {\rm exp}{\frac{-(x – x_0)}{\tau_1}} + A_2 {\rm exp}{\frac{-(x – x_0)}{\tau_2}}
\end{equation}
で、最小二乗法により解析しています。
現在の年齢分布を盛り込んだ人口の予測
おおまかには、このような振る舞いをするだろうことは見えましたが、こんな適当な推論で最終的にどれくらいの人口に落ち着くかが当たるわけはありません。
その理由は、もっと急なカーブを描いて人口が減るかもしれないし、あくまで2018年までの人口をベースにした浅い解析だからです。
精密な予想は既にプロがやっているわけですが(2065年に)、我々人口界隈の素人も少しは予測してみたいわけです。
そこで、人口の年齢分布を考えて、より具体的な人口の変化を考えに入れて計算してみましょう。
65歳以上の人の年齢分布と平均余命
2019年3月1日には、総人口は12622万人、そのうち65歳以上は、3571万人(28.3%)おるようです。
この人たちはの、残りの平均余命を調べてみましょう。
平均余命ですので、65歳から考えて、あと何年生きるか?を示しています。
男子:19.57年(平成29年)
女子:24.43年 (平成29年)
つまり、平成29年時点で65歳まで生きている男性は、まだ20年は生きるし、女子は24年ほど生存します。
これらの人々が、今後一番早く亡くなることが予想されますので、細かいことを抜きにして24年ほど経てば、上記の3571万人は死ぬと考えましょう。(実際は、男女で平均余命と人口分布が違うので、厳密に計算することが出来ます。)
24年後の人口推測
24年後の2043年には、
\begin{equation}
12622 – 3571 = 9051({\rm 万人})
\end{equation}
となります。
しかし実際は、その間に生まれる人もいるので、24年間の間に増えた人口をx(万人)としますと
\begin{equation}
9051 + x({\rm 万人})
\end{equation}
となります。
子供の数がどれくらい増えるか?というのは、前回の記事で多少考えましたが、24年物間に渡ってどれほど人口が増えるかを真面目に考えるには、調査が必要です。(今回は断念w)
ですので、ここは、xを変数と置いて、色々変えて計算してみましょう。
24年後人口も含めた人口の予測
x = 500, 1000, 2000と変えてみて、グラフにしてみました。
24年後の2043年の人口をx = 500の時9551万人、 x = 1000の時10551万人、 x = 2000の時11551万人の一点のみ追加してフィッティングしてみました。
こうしてみると、500万人生まれる人口が増えるだけで、最終的にどれくらいの値に落ち着くかがだいぶ異なることがわかりますね。
少しでも人口増えた方が、現象は食い止められるんだなぁ、と実感しました。
こうしてみると、図4のグラフより遥かに人口は減少するということがわかりますww
そのせいで、フィッティング関数が変わりました。
フィッティング関数(ここは解析の項目なので読み飛ばしてもらっても本筋に関係ないです)
フィッティングに用いた関数は、
\begin{equation}
f(x) = y_0 + {A_1 / (1 + {\rm exp}{\frac{x_1 – x}{\tau}}})
\end{equation}
で、最小二乗法により解析しています。
プロの人口推計予想との比較
人口界隈のプロの予測では、2065年に8807万人のようです。
各年の人口の予想値が載っていたので、プロットして、図5と比較してみましょう。
下のピンクの●が、国立社会保障・人口問題研究所の予想値です。
どの曲線とも異なる振る舞いを示していますが、緑の曲線と当たらずも遠からずという感じでしょうか。
とすると、x = 2000の時より、少し上に曲線が来ると思いますので、2100年には、7000万人前後で一定に落ち着くのかなぁ、と一応推測することが出来ます。
