たぬしでやんす。
めちゃ寒いですねー。
イルミネーションといえば、僕の友人が高校の頃に言うていた、あの言葉が耳から離れません。あれは、新宿の南口あたりのイルミを見ていた時のことです。
たぬしくん。
電灯っていうのはさ、「嘘」なんだよ。
新宿という大きな街で、虚飾だけがはびこっていくなんて耐えられないね。
でも、それでも、こうして集まると綺麗なんだから不思議だよ。
人工的な光が増えれば増えるほど、嘘は大きくなるのに、見た目は綺麗になるなんてね。
たぬしくん。キミは、どう思う?
このようなことを、かつて南口に存在しました紀伊国屋書店の前で言われたように思います。
このことを念頭に置きまして、寒い中、関東最大級のイルミネーション施設とうたわれている、東京メガイルミ2018に行ってきましたので、その内容をお伝え致します。
目次
風景
期待して臨んだ、東京メガイルミ2018。
果たして、どのような物語を見せてくれるのだろうか?
夕刻5時半頃に大井競馬場前に着き、会場へ向かったが、長蛇の列が出来ており、30分ほど並ぶことに。
最初から、期待感を煽ってきたけれど、それ以上に寒かった。
すぐ近くがもう海なので、風も吹きすさび、身も心も凍ります。
並んだ先には、券売機が結構あり、割と早く人が流れております。
あまりに寒すぎたため、急ぎ中に入って行きました。
途上の道々には、ある種の幻想的な色彩があたりを満たしており、目くるめく物語の始まりを想起させるのでした。
これが、噂の虚飾というやつなのでせうか?
エントランス

入り口の方で、すでに光がグラデーションしている様が見てとれるかと思います。

画面に映し出される星と宇宙の天空図。
期待を抱かせてくれます。

普段はどうなのか知りませんが、TOKYO CITY KEIBAが象徴的に輝いていました。
その隣には、幼い回転木馬のミニチュアーが、添えられておるのであります。


中に入りますと、ゴスペルバンドの森本バンドchoirが演奏さていました。
死ぬほど寒いはずですが、ベースはリズムを外さないで演奏していたのがマジで凄いと思いました。
経験上、外で冬にギター弾くとメチャクチャ寒いですし、家で弾いててもかじかんで弾けなくなることがあります。
終わりまで、鑑賞しましたが、この時点で身体が寒すぎて死にそうになりました。バンドのゴスペルは最高でした。
この時点で、ライブ見に来たのかと思ったくらい。

東京メガイルミ入場
ここからが、やっと東京メガイルミの本枠の始まりであります。
競馬場に入場しますと、非常に広い空間なので、割と寂しく感じます。

タイムトラベルゾーン
進んでいきますと、タイムトラベルゾーンへ。
そう、このイルミネーションは時間を超えて、現代から過去へ遡ります。
そして、過去から現代へと徐々に旅をしていくのであります。

さて、早速タイムスリップのトンネルを抜けようとしますと、非常に良い音楽がかかっておりまして、これは総合芸術としての趣を感じさせてくれました。
写真もいい感じにぼやけまして、単調な光のうちに、人の影が、吸い込まれていきます。


その先のトンネルでは、また非常に素晴らしい音楽がかかっておりまして、何周もこの光と音の演出を眺めたものであります。
様々な姿形を模した、イルミネーションが進行していきまして、次々と移り変わってゆきます。


色も時間発展しております。


最後には、レーザーのように、人々の間を光が駆け抜けていきました。
この演出は最高でしたね。
重ね重ね言うようですが、ここでかかっている音楽を、じっくり聞くべきです。四回以上は、聞いておりました。
音楽が幻想的で最高なのです。


不自然な階段ゾーン
その先に進みますと、謎の階段がただそこに在りました。
ただ、そこで優雅に光っていたのです。
この階段の存在は、この東京メガイルミにおいて、非常なる、深い意味を有しているように思われます。
それほど、アンバランスな階段なのであります。


原風景という名の田園ゾーン
競馬場の広大さを遺憾なく発揮した、棚田のような風景が広がっております。
これは、田園文学のような壮大な自然感覚を我々に提示しているのでしょうか?
この写真に類似した、非常に整列させられた電灯の、あるいは時に色が変化したりする様を、ただただひたふる傍観。
傍観するしかない、といった状況であります。
その理由の一つは「寒さ」、二つ目はこの田園の「不可思議さ」であります。


この驚嘆すべく、田園風景を抜けますと、そこにありますのは、藤の花を模したかのような、灯火の明滅でありました。

さて、これまで田園田園言っておりましたけれど、終いには、田園が現れました。
稲のような草が延々と灯っております。
その先には、川とお月様、そして灯籠の明滅。
そう、これが伝統的日本の田園風景なのです。

どうやら、これは原風景らしいです。
懐かしさを感じるかどうかは、果たして。

田園のみならず、風車に川が流れておりました。
かつての日本の風景ということなのでしょう。


その先には、なにやら、馬舎のようなものもありまして、その左には、実は仏も座しております。
微妙に、競馬場のニュアンスを取り入れてくるあたり、渋いです。

この原風景ゾーンを抜けると、藤の花がしな垂れておりました。
ここらは、主に子供がやたらと駆け回っていたり、次のゾーンへの分岐点としての役割を果たしておりました。
藤の花言葉の一つは「歓迎」であります。

魑魅魍魎の江戸ゾーン
世界はただただ、時の経過と共に過ぎ去って行きます。
それは、イルミネーションの世界でも同じようであります。
気がつけば、江戸時代にスリップしておりました。
音楽も、江戸の様相を呈しております。


「へつぬ
ぬへつ」
ハハーン、これもまた、奇怪な文字列ですが、なかなか洒落ております。
鎌に○が輪っかの輪、最後に「ぬ」。
「かまわぬ!」
と読む、江戸のダジャレであります。

さて、軽妙なダジャレをかましてきたということは、その次は、やはりお風呂でありましょう。
突如として現れる、男湯と女湯。
江戸時代からこのような表記だったのでしょうか?

風呂のように、大衆の色もあれば、一方で、折り鶴と恋人と扇子。

鳥居のモチーフと希う人々が散見されます。
というか、何故ここで鳥居を持ち込んだのか、謎であります。

樽が跋扈する大正ロマンゾーン
次のゾーンへ行きますと、すでにときは移り変わっておりました。
汽車と懐中時計に貴婦人。
汽車の始まりは、1872年の横濱〜新橋間かと思うておりましたが、長崎電気軌道なる汽車が長崎のハイカラな街並を一足先に駆け抜けていたようであります。
大正は1912年〜1926年までの間ですが、確かに懐中時計はこの頃に隆盛を迎えたように思います。
貴婦人もまた、当時のモダニズムにおいて流行ったのかな?
洋装が、初めて(?)生まれたあたりだからかもしれません。

大正ロマン式庭園と銘打たれた、新たなステージですが、どこらへんが浪漫なのか。
果たして、その光の海の先に、浪漫を感じさせる何かがあるのか。


ひたすらに光る樽と傘。
宮沢賢治の因果交流電灯(1896〜1933年)という詩を思い出させてくれますね。

グラデーションする、電灯と傘。(グラデーションしかしない)

そして、中心には大きな樽が鎮座ましましておるのです。
しかして、この樽の周期的配置については、先刻見てきました田園の薫りがそこはかとなく漂うております。
田園も、非常なる周期的かつ、広大な景色でありましたが、平面のみのモチーフでありました。
一方、この樽は、縦に長いため、平面だけの田園より、一層周期性が際立っており、「これ、なんなんだよ」感が増しましになっております。
そもそも樽ではないのでは?という疑問が頭をもたげてきております。

わかりやすく仕上げた昭和ただいま横丁
さて、樽のことはさておき、やっと昭和の時代にやってきました。
ただいま横丁とはなかなかに意味深ですね。


作者は昭和に一番はっきりとした、イメージを持っていたのかもしれません。
明確にコンセプチュアルな空間を提示してくれました。


ライカってカメラのようですが、何故勉強の店?
謎を呼ぶ看板であります。
塗装の技術は非常に高そうでして、かつて作られたものだとしたら、昔の塗装技術すごいなーと思いました。

その他、なかなかに面白い看板や、馬の名前を呈した提灯などが道々に見受けられます。

焼き鳥屋の看板。
確かに、昭和臭はするのですが、なんでも詰め込んだ感が出てきました。

昭和の映画のチラシ達。
なかなか趣はあります。

数少ない、芸術性を感じさせてくれた、アトムの切り絵。
左の方は、ウルトラマンでしょうか?

終わりを抜けると、割と閑散としていますが、これで終わりです。
イルミネーションはそこらにあるのですが、競馬場が広すぎて、寂しく見えたりする。


感想
とにかく寒いですね。
海が近いからか、風が吹くと非常に寒いです。
防寒具とホッカイロは絶対に過剰なほど持って行った方が良いかと思います。
モノレールを使って行きましたが、モノレールから見える景色も非常に良いものですので、モノレールを使われる方は、外を見ることをオススメします。
行く場合は、前売り券を買った方が良いと思いました。
待ち時間がなくなりますし、少し安くなります。
待ち時間は、運が悪いと30分強かかることがあると思います。
5時半頃に着いて、30分以上待ちました。
帰りは、全く列がなかったので、開始時間より後に来た方が良いのかも?
もしご飯など食べず、回るだけなら1時間ちょいで終わると思います。
さて、内容ですが、イルミネーションと音楽、そして映像の総合芸術としてみますと、競馬場の広さをうまく使いきれていない感じがしました。
競馬場が広すぎて、電灯を大量に使っているにも関わらず、寂しく見えてしまう場所が多々あるという事態が生じてしまっているのであります。
あと田園に命を懸けすぎた感があり、広大な土地を棚田等で消費してしまった感があります。面白いので、散歩道としては非常に良いものです。
また、1800円という値段設定については、電灯の数や設置にかかる費用、人件費等を考慮すると非常に高い、というわけではないかと思いますが、一観覧車として考えますと、もう少し安くならんかね、、、と思う次第であります。
内容と金額のミスマッチを感じる人もあるかもしれません。
とはいえ、部分的には非常に良い演出がありますし、子供さんを連れていく方などは良いと思いました。
尺がめちゃくちゃ広いので、騒いだり走っても、他の場所ほど迷惑かからず済むと思います。
東京メガイルミは、今年が初ですので、来年に期待したいと思います。
営業期間および場所
以下、公式からの情報を載せておきます。
営業期間
2018年
10月 7(日)・13(土)・14(日)・20(土)~28(日)
11月 3(土)・4(日)・10(土)・11(日)・17(土)~25(日)
12月 1(土)・2(日)・8(土)・9(日)・15(土)・16(日)・22(土)~24(月祝)・28(金)
2019年
1月12日(土)~3月31日(日)
※競馬の開催日程の変更等に伴い、休業日を設定する場合あり
営業時間
平日 18:00~22:00
土日祝 17:00~22:00
最終入園 21:00
※競馬開催日程等により、営業時間が変更となる場合がございますので、営業カレンダーにてご確認ください
※ペット入園不可
チケット情報
当日券
大人(18歳以上):1800円
小人(小・中・高校生):1000円
※未就学児は無料
前売券
大人(18歳以上):1600円
小人(小・中・高校生):800円
10月1日よりチケットぴあにて前売券発売開始
割引券
- 団体割引(10名以上での来場者に適用)
大人(18歳以上):1,600円
小人(小・中・高校生):800円 -
障がい者等割引(ご本人と付添いの方1名に適用)
大人(18歳以上):900円
小人(小・中・高校生):500円
※有人券売窓口にて、各種障害者手帳・療育手帳・被爆者手帳をご提示ください。
※原則、開園30分前より販売いたします
アクセス
住所:東京都品川区勝島2-1-2 大井競馬場
東京モノレール「大井競馬場前駅」から徒歩約2分(図1地図を参照)
京浜急行「立会川駅」から徒歩約12分
